防水工事

ベランダやバルコニー、屋上などからの漏水を防ぐための工事です。

水たまりができ、建物の内部に雨水が浸入すると、建物の骨格を支える柱や梁の腐朽、鉄筋の錆などにつながります。特殊塗装で防水し、侵入を防ぐ工事になります。

防水とは?工事の必要性について

日本では雨や雪が降りやすい国です。
建物を水から守り、住まいの快適さを維持することが家の資産価値を保つ重要性となります。
水漏れは悪臭や腐食の原因になり、早く建物が劣化し、寿命を縮めてしまいます。
カビやダニなどを発生させ、健康被害の原因にもなります。
定期的に建物の内部や外部を点検し、防水が必要な場合は適切な防水工事を行うことが大切です。

現場 堺市のAさん宅
工事内容 防水工事
使用素材
築年数 29年
工事期間 3日間
  •  施 工 前 
  •  施 工 後 

ウレタン防水

マンションや陸屋根などの平らな屋上に行なう防水工事のひとつです。
液体状のウレタン樹脂を複数回塗ることでつなぎ目のない防水層を形成し、雨水の浸入を防ぎます。
施工も簡単で、防水工事の中では安価な上に、別の素材の防水材があってもそのまま上から重ね塗りもできるなどメリットが多く、最も主流の改修用防水工事です。
5、6年ごとにトップコートを再塗装することで、15年程度、防水効果を保持できます。
液体状のため、屋上、ベランダ、バルコニー等どんな形状の場所にも採用できます。
短所としては、人の手で塗るため、完全に均一な膜厚にはならない(専用の機器を用いれば最小限に抑えることが可能です)、乾燥に時間がかかる(その間歩けないため、マンションの廊下などには不向き)、デザイン性がないということが挙げられますが、性能的に目立った短所はありません。
比較的安価なので、迷ったらウレタン防水と言っても過言ではないでしょう。

塩ビシート防水

工事の難易度が高く、施工できる業者が少ない塩ビシート防水ですが、寿命が長いのが特長です。
防水シートを下地に貼り付ける「密着工法」とディスク板などを使って固定する「機械固定工法」などがあります。
・密着工法 … 接着剤などで塩ビ防水シートを貼り付けます。ある程度の強度があるので歩行程度の用途に向いているものの、施工後に接着剤が剥がれたり、通気性がない分、下地の影響を受けることがあります。
・機械式固定法 … シート銅板を入隅・防水端末に固定し、塩ビシートと接合する工法。
亀裂や振動といった影響を受けることはほとんどありません。溶着剤や熱風で瞬時に接合するので、長期間安定した接合面を保つことができます。
メリット
耐候性のある塩化ビニール樹脂に耐久性を付与した塩ビ防水シートは、紫外線や熱、オゾンに優れた耐久性があります。耐摩耗性があり、軽歩行が可能です。
メンテナンス性に優れ、長期的に使いたい場合は最適です。それまで使っていた防水材にそのまま被せて使うことが可能なので、短期間・低コストで工事をすることができます。
デメリット
素材がシートなので下地が平らでなければならないため、複雑な形状には向いていません。
結合部分で剥離を起こしたり、燃えるとダイオキシンが発生する場合があります。

ゴムシート防水

ゴムシート防水とは、合成ゴムのシートを屋根に敷く防水方法です。粘着剤とテープで取り付けるだけなので、工期が短く費用をかけずに防水をすることができます。
ゴムシートを取り付ける際の工法には「密着工法」と「絶縁工法」がありますので、それぞれご紹介します。
密着工法
防水工事の際に溶解アスファルトや接着剤を使用して下地に完全に密着させる工法です。下地とゴムシート両面に接着剤をつけ、シートを張り付けていきます。
絶縁工法
新規の防水層(ゴムシートなどの雨水を防ぐ膜)を下地に部分的に接着し、蒸気や空気が行き来できる通気層を設ける工法のことです。ゴムシートの場合は、接着剤を使わずに固定ディスクとアンカーを使った「機械的固定方法」といわれる方法を用います。
ゴムシート防水のメリットについて
先ほども述べたように、安価で施工しやすくコストパフォーマンスがいいということがゴムシート防水の最大のメリットです。
ゴムシートの防水層は1枚だけですが、耐久性に優れており信頼できる防水になっています。耐候性も優れており、温度変化や高温の中でも溶けたり変化したりすることはありません。
ゴムシートは伸縮性・柔軟性に優れています。そのため、下地にひびが入ったりしても影響を受けません。
ゴムシート防水のデメリットをカバーする方法とは
ゴムシート防水にはデメリットもあります。ここではそのデメリットと、デメリットをカバーする方法をご紹介していきます。
鳥害を受けやすい。
近くに山がある場合、カラスなどの鳥がゴムシートに穴をあけてしまうことがあります。ゴムシートなどの柔らかいものは鳥の被害を受けやすいようです。
対策としては、鳥よけの団子などの薬品等を置いておくなどがあります。ただ、効果がないこともあるかもしれませんので、心配であれば鳥駆除などを行っている業者に相談するといいでしょう。
傷つきやすい。
ゴムシート防水は上を歩行することを前提としていないように、あまり丈夫ではありません。そのため、ちょっとした傷などがつけられていることがあります。
鳥害であるようなら先に書いたような対策が必要ですが、そうでなければ部分補修をするだけで問題ありません。
ラップ部分が劣化しやすい。
ゴムシートのラップ部分(シート同士が重なっている場所)の先端部は劣化しやすく、剥がれてしまうことがあります。放っておくと悪化し、水が入ってきてしまいます。定期的にチェックして、問題があれば補修するようにしましょう。
ゴムシート防水のメンテナンスはどれぐらい必要?長持ちさせるには
ゴムシート防水は、年に2回くらい排水溝やドレン回りの掃除をするようにしましょう。また、2年に1回くらいの頻度で防水層のチェックをしてください。その際は、以下のような点をチェックしてください。
・防水層の破断・損傷がないか。
・防水層立ち上がり末端部やドレン部のシール部分に、剥離やひび割れがないか。
・防水層を固定している金物が、緩んでいたり剥離をおこしていないか。
・ゴムシート防水の接合部は、剥離が生じていないか。
・防水層の立ち上がりの部分は浮いていないか。
・防水層が異常に膨らんでいないか。
・水が防水層の下側に入り込んでいないか。
・土砂や落ち葉などで排水溝やドレンが埋まっていないか。
もしあてはまるようなことがあれば、施工業者へ連絡しましょう。また、5年に1回は業者による点検および不具合箇所の補修などを実施しましょう。
定期的な点検をきちんと行い、小さな穴などをその都度部分補修しましょう。そうすることで、ゴムシート防水の効果を持続させましょう。
まとめ
ゴムシート防水は安価で設置できます。デメリットになる部分もありますが、解消や対応する方法もあります。
しかし、長く使用するには定期的なメンテナンスを行うことが必要となってきます。剥がれたり、穴が開いているなどの不具合がある場合には対処する必要があります。

アスファルト防水

アスファルト防水とは
合成繊維不織布にアスファルトを含浸・コーティングしたシート状のルーフィングを貼り重ねて形成する工法です。熱工法・トーチ工法・常温工法(冷工法)などに分類されます。
ルーフィングシートを積層することにより、水密性に優れた防水層が構成されるので、露出仕上げや押えコンクリートで仕上げたり屋上緑化を施したりと多彩な仕上げが可能です。
(1)熱工法
アスファルト溶融釜で220℃~270℃に溶融した防水工事用アスファルトを使用し、ルーフィングシート複数枚を交互に積層して防水層を作る工法。
(特徴)
熱工法の特徴は、溶融した防水工事用アスファルトを使用することにある。常温時においては固形物である防水工事用アスファルトは、現場においてアスファルト溶融釜を灯油バーナーなどで熱して液状に溶融するが、溶融されたアスファルトは、ルーフィング類を張り付けた後、時間を経ず硬化し、防水層としての機能をすぐに発揮します。
つまり防水層を完成させるまでの作業時間の中に養生時間や養生期間がなく、防水層を容易に作ることができます。アスファルトは熱すると液状になり、冷えると固体状になるという性質をうまく防水工事に適用しているのです。
しかし、この工法の問題点は溶融したアスファルトの異臭や煙を放つこと、溶融温度が220℃~270℃と極めて高温であることから近隣の環境問題や、作業員の火傷などの危険性があります。
(2)トーチ工法
改質アスファルトルーフィングシートの裏面と下地を、トーチバーナーであぶり溶かしながら張り付け、あるいは張り重ねる工法。
(特徴)
トーチ工法は、熱工法の溶融釜のような大がかりな設備が不要で段取りが簡素であり、改質アスファルトルーフィングシートをあぶり融かして下地に張り付けるだけの簡単な作業で容易に防水層をつくることができる。
しかし、この工法の問題点は、あぶり不足などの施工不良が原因による早期劣化や雨漏りなどの不具合が多く発生していることです。この原因はトーチバーナーの火炎が強いことや温度が1000℃以上にもなることから、改質アスファルトシートに火炎を当てればすぐに融ける錯覚が生じてしまうためです。コストパフォーマンスに優れた工法だが、精度の高い丁寧な作業があってこそ、その防水性能が発揮される。
(3)常温工法
ゴムアスファルト粘着層を裏面にコーティングした改質アスファルトルーフィングシート複数枚を交互に積層して張り合わせる工法。 冷工法とも呼ばれる。

FRP防水

FRP防水は、強度が大きく耐久性に優れたFRP(繊維強化プラスチック)を防水分野に応用した工法で、軽量かつ強靭で耐水性・耐食性・耐候性に優れていることが特長です。
特に、軽量かつ強靭であるという特長から、屋上の防水として適用した場合、防水層の上にトップコート仕上げを行う露出仕様でも人の歩行が可能となります。通常、屋上を人の歩行用に供する場合は防水層の上にコンクリート層を設けたり、あるいはタイルのようなもので仕上げる必要があるがFRP防水の場合は、そのような保護層は不要となります。
FRP防水は、木造住宅バルコニーなどの防水として多く採用されていますが、これは上記のような歩行可能であるということと、樹脂(ポリエステル樹脂)の硬化速度が速いという施工面での特長が生かされているためです。
ただ、FRP防水の施工中(樹脂が硬化するまでの間)は、ポリエステル樹脂に含まれるスチレンが揮散して、臭気が周囲に広がる可能性があります。スチレンは都市ガスにも似た一種独特の臭気を持っているため、施工時には臭気対策を行っておくことが必要です。
近年では、FRPの高強度という利点を応用して、屋上緑化や屋上菜園の防水層としても採用が増えています。

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